≪復刻版≫

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その8. クラッチユニットと1次減速ギヤのうんちく

クラッチは一般的な手動式と、この猿人独特の機構である自動遠心式の2種類に大別されます。
一部に3速オートマチックがごく短期間生産されましたが、極めて
特殊性がありますので
ここでは割愛させて頂きます。

まず手動式のマニュアルクラッチですが、クラッチディスクが1枚の「単板クラッ チ」と2枚の「多板クラッチ」に分別されます。
単板クラッチは、おもに49ccの猿人に採用されています。
多板クラッチは、
ダックス70を始めとしたおもに72ccの猿人に採用さてれいたのはよく知られた
有名なお話しですね。
かなり昔の
CL50というスクランブラーにも、49ccでありながら多板クラッチが採用 されていたのはご存知でしょうか?
これら単板・多板とも強化されたクラッチスプリングを組み込むことによって、排気量をアップなどしてパワーアップした猿人に耐えうるクラッチとすることが可能です。

単板純正 遠心純正 遠心強化 多板強化
クラッチスプリングの比較


目安としては、単板強化ならボアアップの80cc程度までなら問題なくイケると思われます。
多板強化ならストロークアップの100cc程度まで耐えうると考えられますが、猿人の仕様にもよりますので一慨には断言出来ません。

※ 2次側へクラッチユニットを移動させた社外品への移行は、各自のご判断でお願いします。

これらのクラッチユニットは、お互いに
互換性があり換装が可能です。
ただユニット換装と同時に、1次減速用のプライマリードリブンギヤも交換の必要があります。
これらのカラクリは、単板と多板では
1次減速比が異なるためです。
単板より多板のほうが、よりハイギヤードな設定とされています。
もう一つの
裏技として、純正のドリブンギヤより薄くて軽量なモンキーR用のドリブンギヤを組み込むという方法もあります。
これは上記で述べた単板の1次減速比のギヤ比用ですから、単板ユニットのみに適用可能です。
単板クラッチユニット本体の
軽量性と合わせて、よりレスポンスの良い猿人を造るには最適の組み合わせだと思われますが、如何でしょうか? (2次側クラッチにはかないませんが・・・)

ひとつ逸話としてお話ししますが、「単板強化」よりも「多板強化」のほうがクラッチレバー 操作が軽いとう事実があります。 単純にバネレートの違いだと思われますが、おもしろい現象ですね。


次は自動遠心クラッチです。

このクラッチ機構こそ、ホンダが世に知示めた究極の
「出力断続方式」と言えるで しょう!
スーパーカブの世界進出を成功させた、伝説のクラッチなのです。
遠心クラッチのことを「ノークラ(ッチ)」と称する場合がありますが、手で操作するレバーと、それを伝達するワイヤーがないだけで、
立派なマニュアルクラッチです!
この遠心クラッチの操作に慣れてくると、左足での微妙な半クラッチが可能になりますよ。

よくクルマのマニュアル・トランスミッション車を 「ミッション車」って呼ぶでしょ?
オートマチック車だって立派な 「オートマチック・トランスミッション車」なのです。(屁理屈?)
無段変速車(CVT等)って、どー呼ぶんやろ?(またまた横道や・・・)

ハナシを戻しましょう。
ギヤチェンジを左足でおこなう際、シフトフォークを操作するロッドに連動して、手動クラッチのリフターにあたるリテーナーを作動させます。

遠心用シフトフォークスピンドル



この機構は、シフトアップ時にもダウン時にも同じ動作が稼働するように、ベアリングのような鋼鉄製のボールが3個組まれております。
実際にクラッチのケースを開けてみれば、その
優れた機能を確認することが出来るで しょう。
マジで感動しましたよ! これを40年以上も前にホンダ技術者陣が開発したなんて ・・・
改めて、
故:本田宗一郎と故:藤沢武夫の偉大さと、情熱と執念を感じさせてくれる瞬間でもあります。

生産された年代により、さまざまなタイプが存在しますが、すべてに共通な特徴としてクラッチディスクが複数枚数 組み込まれている「多板」タイプなのです。
それこそ49ccから100cc越えまで、すべての遠心ユニットに採用されています。
(排気量ごとに、クラッチの容量がチガウのは当然でしょうが・・・)
猿人回転の上昇・降下に伴って自動的にクラッチを断続させる構造だからこそ、このような
ヘビーデューティーな構造を採用しているのだと想像出来ます。

この遠心クラッチユニットにも各種強化スプリングが用意されています。
私が使用したのは、早★仕で購入した 「かなり強化クラッチS/P(仮称)」 と「プチ強化クラッチS/P(仮称)」 の2種類です。(爆)
「かなり」 の方は、社外品で88ccにボアアップした4速遠心・ロータリーミッ ションに、
「プチ」 の方は、純正流用の72cc3速遠心・リターンに組み込んで使用してます。
性能的には何も問題なく、当然クラッチのスベリ等も発生しないので満足しているのですが、左足でミッションを操作する際に、
シフトペダルが硬くなるという欠点があります。
「かなり」 のほうは 「かなり」 硬くなり、「プチ」 のほうは 「プチ」 硬くなりました。(ワケワカ爆)

あと私の想像ですが、同じ猿人を搭載した3輪バギーの
「ATC70」のクラッチスプリングが流用可能ではなかろうかと考えております。(4輪バギーだっけ?)
重い車体を制御するためには、それなりのクラッチが採用されているハズです。

蛇足ですが、ミッション形式とクラッチ形式の組み合わせに
制限はありません。
例えば5速ロータリー・遠心クラッチとか、3速リターン・手動クラッチなどです。
だれもヤッてない組み合わせって、他にあるかなぁ〜?