本田技研の製品は、2輪車・4輪車は言うに及ばず船外機や産業器機、さらには農耕機等に至るまで、インジェクションを含むすべての燃料供給装置は、京浜工業製(以下、ケーヒン)の製品を採用しています。 (いすゞのディーゼルエンジンなど、OEM製品を除きます)
かなりの昔から、このお互いの企業間の強い信頼関係があるものと想像されます。
社外パーツのキャブレターの中には、ケーヒン製以外のキャブも珍しいものではありませんし、逆に巷では、三國工業製の「VM26」や「フラット24」なんかも割とポピュラーに使用されてます。
ただ、管理人のこだわりとして、ココでは純正採用であるケーヒン製のキャブだけに的を絞って考察
していきたいと思いますので、ご了承をお願い申し上げます。m(__)m
モンゴリ系のノーマルキャブレター(以下、キャブ)は、ごく初期の頃を除き、かなりの長い期間ケーヒンの「PA03型」キャブを採用してきました。
最新型のキャブは、排ガス規制等に適応した同じくケーヒンの「PB13型」となっています。
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30年程前の4L用:PA03
インシュの位置が逆・・・
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最新12V用:PB13 |
共に有効ボア径13mmでノーマル猿人には必用十分の性能だと思われますが、ボアアップ等のカスタムをされる方々には、如何せん役不足であるのは明らかです。
そこでキャブの換装を図るワケですが、ここにも純正流用が可能なモノが多数あります。
まず、最も一般的に使用されているビッグキャブは、「PC20型」キャブですね。
このキャブは4st用に設計されており、取り付けられた車両を見かける機会も最も多いと思います。
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クリップ留フロート室がレトロ |
社外パーツなんかでも一番数多くリリースされており、取り付け手順やセッティング等もやり易くビギナーからエキスパートまで、かなりの方々が最初にお世話になったビッグキャブと言えるでしょう。
社外キットをチョイスする一番のメリットは、キャブ本体以外に付属してくるマニホールドやその他のパーツが一式揃っていて、ほぼポン付けでイケることです。
逆にデメリットは・・・「高価!」 この一点ですね。
この「PC20」型キャブは、かなり昔のトライアル車で「TL125」という車種に純正採用されてました。
PCキャブシリーズはこの他に、「CB50」などのPC18、「TLR200」のPC22などがあります。
これら純正キャブ類も、使用する適用車種(モンゴリなど)専用のマニホールドと周辺パーツさえ揃えればカンタンに流用可能です。
次は、同じくケーヒンのPE20〜28型キャブです。
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jun製真円マニホがイケてます
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このキャブは基本的に2st用に設計されており、そのまま流用すると “セッティングが出ない”っていうのが定説となっています。
社外各社からリリースされている「キット物」は、スロットルバルブのカッタウェイやスロー系が4st用に改良されていて、よりセッティングが出しやすくなっているようです。
それでもPC系キャブよりは、遥かに“気難しいキャブ”であるのは私も含めて痛感してます。
ただ、セッティングがツボにハマった場合には、PCキャブ系とは比較にならない位のパワー感であるのは、紛れもない事実ですが・・・
これら「PE系キャブ」は、モトクロッサーやレーサー等のクローズド競技用の車両にも数多く採用されてます。 (勿論、2st車です)
キャブ本体にもキッチリと 「レース専用」ってラベルが貼られています。(英字で)
一般公道用のPE系キャブと何処がチガウのか、私はじぇんじぇん解りましぇ〜ん!(爆)
蛇足ですが、カワサキのレーサーにも、このPEキャブが採用されてます。 ご参考までに。
もうひとつ、純正車種の中からモンゴリ系に流用可能のキャブをご紹介します。
公道用4st・オフロード車の純正キャブで,XL125RやXLR250等に純正採用されている「PD型キャブ」です。
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加速ポンプが誇らしげ |
このキャブはPC系キャブと同様、スロットルバルブ等が4st用に設計されているので、セッティングが出しやすく扱い易いものと想像出来ます。
車種によって様々なタイプのPDキャブがあるのですが、PC系キャブやノーマルキャブと同じように、トップキャップの形状がネジ込み式になっているモノが適合します。
同じPD系キャブの中には、トップキャップがビス留め式のモノがあり、流用には難しそうです。
このPD系キャブのもうひとつの大きな特徴は、車種により「加速ポンプ」が装備されている点です。
トップエンドの方々が使用するキャブの中に、ケーヒンのFCRやミクニのTMR等がありますが、これら高性能キャブにも「加速ポンプ」が標準で装備されています。
セッティングが出来なければ“不要の長物”なのですが、なかなか魅力的な装備ではないでしょうか?
スロットルのボア径も22mmから26mm程度なので、モンゴリ系に流用するには最適の口径だと思われます。
これからブレークするキャブレターだと私は予想してるのですが、皆さんはどう思われますか?
最後にちょっと毛色の変わった純正キャブをご紹介します。
初期の頃のカブに採用されていた純正ダウンドラフト・キャブで、通称“縦キャブ”と愛称を込めて呼ばれているキャブレターです。
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カワイイでしょ? |
このキャブは読んで字の如く、混合気が垂直方向に燃焼室に流入される機能を持ったキャブです。
カブの猿人及び車体に専用設計されたキャブですが、モンゴリのフレームにもギリギリ収まります。
専用設計ですから、本来必要であるキャブ本体とシリンダーヘッドを繋ぐ「マニホールド」が不要となります。
しかし、如何せん49cc用のキャブではキャパ不足ですので、流用するならカブC65(63cc)用かC70(72cc)用の純正品をチョイスするのがいいでしょう。
有効ボア径が16mm程あり、80cc程度までのライトチューン猿人には丁度イイと思われます。
上記で記述しましたが、猿人とキャブを繋ぐ重要な役割をしているのが インテークマニホールドと、シリンダーヘッドからの燃焼熱を遮断させる役割の、遮熱インシュレーターがあります。
マニホールドの形状寸法によって、キャブ本体の取り付け位置が決定しますし、逆に取り付け位置を変更させるパーツを使用すれば、任意の位置にキャブを設置することが可能となります。
いくら高性能のキャブを所持していても、このマニホールドがなければ猿人に取り付けることが出来ず、“宝の持ち腐れ”となってしまいますしね。
マニホールドの有効内径及び管長等によっても、猿人の出力特性に微妙に影響してきます。
一般に寸法が「長い」ヤツはトルク特性がマイルドな方向で、ツーリングや街乗りに最適といえます。
逆に「短い」ヤツは比較的ピーキーでレスポンス性に優れていますので、レース向きといえるでしょう。
インシュレーターは、マニホールドとキャブ本体の間にはさむタイプと、シリンダーヘッドとマニホールドの間にはさむタイプの2パターンがあります。
つまり、前者がマニホールドを暖める(加熱する)パターンと、後者は逆にマニホールドを遮熱する(冷却する)タイプに大別されます。
比較的設計の古い猿人はマニを冷やす方向であり、設計の新しい方はマニを暖める方向です。
混合気の気化促進や、環境のエミッション効果などを考慮したうえでの設計のようですから、設計された時代に応じた選択をしてやりたいものです。
猿人やキャブが設計された時代によって考え方が変化していく状況が、インシュレーターひとつをとって見ても垣間見られますので、非常に興味深い一面ですね。 |